Coffee and Cacao mass

それだけあれば幸せです

孫の呟き

おじいちゃんもおばあちゃんも、80を超えた。



元銀行員で、支店長時代の後輩からいまだに慕われているおじいちゃん。
今は禿げちゃって見る影もないけど、昔の写真を見るとハンサムだ。

逆に今はかわいいけど、若い頃はお世辞にもかわいいと言えないおばあちゃんは、そんなおじいちゃんに一目惚れし、惚れ込んで惚れ込んで結婚した。


でも、元々短気だったおじいちゃんは、少し認知症が進んだこともあり、くだらないことでよくおばあちゃんを怒鳴り付ける。
そしておばあちゃんはそのたび、泣いて怒っている。
「全然大事にしてくれない。私ばかりがんばって、もう疲れた」
と若いカップルみたいなことを言う。

(おばあちゃんはおじいちゃんの世話を焼きすぎるので、おじいちゃんがイライラする気持ちも分かるのは分かる)



この間おばあちゃんが入院・手術したとき、普段はたしかにおばあちゃんを大事にしないおじいちゃんが、施設の玄関にぽつんと座り、行き交う職員さんに
「お見舞いに行きたい」
と漏らしていたそうだ。

おじいちゃん自身が、もう付き添いなしで外出はできないので、だめよ行かれないよ、と断られたそうだけど、あぁやっぱりおばあちゃんのことが大事なんだなぁと思った。



そしていま、おじいちゃんが少し熱を出したので、看護が受けられる施設に移っていて、おばあちゃんは一人だ。

電話したら、
「さっきね、(入院してるときもなんとも思わなかったのに、)初めてさみしいと思ったの。不思議でしょう。あんなガミガミでも、そばに居てくれるほうがいいんだねぇ」
としみじみ言っていた。

なんとなく、おじいちゃんのほうが先に逝ってしまうだろうから、おじいちゃんがいなくても平気なおばあちゃんが残ってちょうどいいかな、なんて思っていたことを反省した。





50年以上連れ添った夫婦、やっぱりいっしょがいいんだよなぁ。
もう、いつお迎えが来てもおかしくないけど、できるだけ二人で一緒に過ごせるといいなぁ。